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23年2月23日


醤油。

単身赴任のお父さんが、魑魅魍魎とともに住まうカオス部屋に"さえ"あると、俺はにらむw

・・・

醤油の日本伝来は意外に新しく、鎌倉時代。

とあるお坊さんが中国の金山寺にて修行中、味噌作りも学んだ。

帰国して、今の和歌山は湯浅に、味噌作りの原料や環境が整っていることを知った。

味噌を漬け込むと、上に黒い液体が貯まった。

ほう、えもいわれぬえぇにおいじゃ

と、指ですくってなめた。

「・・・!?」

その瞬間、お坊さんの瞳孔は拡大し、今までにない光を帯びたに違いない。

それがまたご飯に合うのなんので、その旨味たっぷりのしょっぱい液体に、

「醤油」

と名付けたそうじゃ…(日本むかし話風に)

醤油はもともと、保存食としての魚や肉の塩漬けが液状化した「醤(じゃん=ひしお)」に由来する。

春秋時代の書物がこれらの初出。しかし、5000年くらい前の黄河文明の中で、魚醤や肉醤はすでに食されていた。

・・・

先週の帰国時、稲造は日本醤油発祥の地である、和歌山県湯浅町を訪ねた。

ごはんといえば醤油というほど、お米と阿吽(あうん)の調味料についても、米屋のはしくれたるもの、知っておかねば。

醤油の製法はいたって単純。いまや、鎌倉時代のたまり醤油ではない。

蒸すか茹でた大豆に、砕いた小麦と麹菌を混ぜて「もろみ」を作る。これに塩水を加えて、一定期間寝かす。それを絞って精製する。

木樽で作る古式製法の昔は、「大豆」「小麦」「塩」「水」「麹菌」の5種の原料だけを1年半~2年近く寝かせていた。

発酵促進のかくはん作業も必要だから、手間がかかる。こうして作られるのが、本来の醤油。

今は、1ℓ400円とかの特売品が堂々と「醤油」を名乗っている。その原料といえば…

先の5種に、

アミノ酸調味料、果糖ブドウ糖液糖、アルコール、甘味料、着色料、増粘剤、酸味料…

と、加工食品でおなじみの愉快な面々。まぁねぇ…添加物は安く大量に、かつ速成するために必要。

ま、醤油ではなく「しょうゆ味の調味料」とでも分類すべきではないか?

ほとんどの人は、無機リンも果糖ブドウ糖液糖も気にせず、値段とイメージでしか買わない。

四十を過ぎて急に老けがちかつ病気がちになるが、食事内容を省みることは、なぜかあまりない。

若いころから、習慣化すべきだった、と。

また、原料に使用される大豆は、

丸大豆

といって大豆そのままを使う場合と、

脱脂加工大豆(大豆粕)

といって、油を搾った後のカスを使う場合がある。

日本で生産される醤油のうち、82%は脱脂加工大豆から。当然、丸大豆からとは含まれる成分も違ってくる。

繰り返すが、ここまで違う本物醤油と色々混ぜたしょうゆ味の調味料。

同じ次元で考えるのは、無理がないか?

・・・

んで、湯浅醤油。

旨味成分が、

一般的なこいくち醤油の1.5倍!

と豪語するだけあって、旨味のあるしょっぱさの中に、口中でぶわ~んと膨らむまったり的な重量感。

当たり前だけど、アルコール臭さがない。

妙に甘めな例のしょうゆっぽい調味料って、瓶の口から注ぐときサラーっとした水っぽさで流れていく。

こちらは、トロ~っと濃厚な旨味の凝縮で、液状が黒い赤ワインみたいな感じ?といえば、その質の違いが想像できるだろうか。

カカオ成分9割超の苦みの中にワイポイントの甘さがあるチョコ

と、

カカオ3割未満&砂糖の塊、芸のない甘さなカカオ風味のお菓子

くらいのちがい。

本物はいい。満足感が多面的で奥行きがある。

新世界への到達。仏教でいう阿頼耶識(あらやしき=深層心理)に響く鐘の音、みたいな。

人生には、やっぱこの瞬間がなきゃ♡

100ml単価でいえば、特売品(1ℓ400円くらい)の6倍以上するんだけど…

そりゃ、原料も手間暇もまるで違う。

でも、毎日使うといっても、醤油はそうそう大量には使わない。

塩、砂糖、みりん、酢、油

といった自炊家庭のための必須アイテムともども、ぜひ良質なものをそろえたいと、改めて思った。

それか。

湯浅醤油でなくとも、丸大豆&無添加を前提に、調理過程で加える醤油と、完成形に直接かける醤油を、使い分けてもいいかも。