秋田からの一貫した冷温管理
一般的に、玄米は15度以下で保存しなければならないといわれています。
秋田港から玄米を輸入するときは、15度のリーファー(冷蔵)コンテナを利用しています。稲造米は、日本レベルの品質を維持したまま、約3週間かけてシンガポールに到着します。
一方、シンガポールのスーパーで見かける日本米や日本品種は、日本で精米された古いお米である上に、ほとんどが内部が60度以上に達するドライコンテナで輸入されてきます。
輸送費がコンテナチャーターなら3倍、混載なら8倍程度も安価なためです。
夏場は2-3週間もの間、日本から一貫してこの温度でお米が運ばれてくるのです。シンガポールのみならず、外国で食べる日本や他国産のお米が美味しくない最大の所以は、コストを抑えるための、この杜撰な温度管理にあります。
安く仕上げるために、一番大切な日本米の高品質性を犠牲にしているのです。白米は見た目に変化が表れませんから、なおさらです。この運搬方法は、米好きの米屋にして生まれも育ちも秋田県人として、心が痛みます。
ちなみに、玄米は長期の高温には弱いため、ドライコンテナではすぐに腐食してしまいます。
さて、15度という温度管理帯は、1年以上の長期保管をする場合。
玄米は、まだ胚芽が残った植物ですから、この胚芽の部分が呼吸しています。つまり、酸素を使うことで酸化が起こり、劣化していくのですが、15度以下になると玄米が完全な冬眠状態に入ることで、酸素を使わなくなります。
日本での管理帯は15度ですが、シンガポールの弊社倉庫では、18℃で管理しています。
なぜなら、まず3-4か月ですべて売り切る量で輸入しているために、20℃以下であれば玄米の劣化はまず見られないこと。
さらに、倉庫の温度と精米時の温度が異なり過ぎると、その差によって精米されたお米に水分が付着し、お米の食味を落としてしまうからです。つまり、15度保管の場合は、24時間ほど常温下において、玄米の温度を上げておく必要が出てきます。
そうなると、注文が来たらすぐ、というタイムリーな精米ができなくなってしまいます。
そのため、こまめに倉庫からだし、すぐに精米して出荷することを前提に保管するのであれば、弊社の小さな冷温倉庫なら18℃がベストなのではないかと判断しています。