秋田県の収穫時期は、9月中旬から10月中旬にかけて。この時期はちょうど台風来襲時期と重なり、風によって倒される稲も多数見られます。
土壌の硬さ、根の張り方、茎の太さ、丈の長さ、稲の実り具合により、条件が悪いと収穫目前にも関わらず、見るも無残に全滅している水田も見られます。
この水田はどこも倒れておらず、芸術的な実り方。超A級の農家さんによるあきたこまちなのでありましょう。素人兼業農家さんのお米より、プロ専業農家さんの技術とプライドにより生産されたお米のほうが、美味しそうなイメージがあります。
ちなみに、山の向こうは岩手県です。
近くで見るとこんな感じです。
今年は全国的に台風、大雨、ゲリラ豪雨と水害のひどい年でした。秋田県は県北と田沢湖近辺を除き、概ね穏やかな気候だったので、作柄は平年並みとのことです。
これで平年並みだったら、豊作の年になると、もっとぎっしり穂が実っているということなのでしょうか。ちなみに、多いところで10アール(10M2)あたり600キロ以上の玄米が収穫されます。全国平均は540キロ前後のようです。
その昔、上の写真のような「絣(かすり)」と呼ばれるカラフルな色と模様を持った作業着を着て、農作業に勤しんでいた秋田美人。絣は冬の農閑期に、奥様方が内職の手作業で作っていたということです。
今では、イベント時に秋田おばこ(秋田美人の娘)のコスプレくらいでしか披露されなくなりました。色のついた糸を編みこんでいく手のこんだもので、現在なら普通に購入すると結構な金額だそうです。
「あまちゃん」の海女さんたちも絣半纏を着てウニを獲っていましたね。昔の農林水産業に従事する女性たちの、ささやかなおしゃれだったようです。
絣を着た秋田美人は、地元のイメージキャラクターにも採用されています。
左は、県南のヤマダフーズさんが販売する「おはよう納豆」のキャラクター。右は、その近所にある美郷町に入ったことを知らせる看板のキャラクターです。その他、各産地が販売するあきたこまちのパッケージにも、絣を着た秋田おばこが採用されています。
小野小町風のイメージキャラクターは、そろそろその役目を終えたみたいです。
で、収穫されたおコメは、農家さんたちが自分で右のような設備を設け、玄米にします。
①乾燥機→②脱穀機→③石抜機→④小米選別機→⑤色彩選別機→⑥袋詰
という工程をへて、玄米までになります。
①の乾燥機は、温風に8時間ほどかけることで、水分含有量を15%以下にする作業です。乾きすぎるとコメが割れますし、15%以上になると「1等米」というランク付けがなされない上に、品質劣化の原因にもなります。
②脱穀機により、モミを玄米にします。
③④は同時に行われるようですが、1.9ミリ以上の玄米を「小米」として分類し、さらに、カメムシに食べられてしまい、黒く着色してしまった玄米を、色彩選別機によってはじき出します。
良くも悪くも、日本のおコメは規格品。野菜と同じで、店頭に並べられるレベルにするために、費用がかかるわけです。だからこそ、日本の米は見た目にも優れ、世界的に見ても良質な味を誇るのです。
③④の工程がいないと、品質にかなりのばらつきが出てしまい、日本のコメは世界的にも評価されなくなってしまうでしょう。
なお、はじかれたコメ(規格外のコメ)は、2等,3等と格付けされ、味噌やせんべいなどの加工食品用に使用されます。
袋詰めされた玄米は、定温定湿倉庫を持つ集荷場所に集められます。
湿度は70%以下、気温は15~18度という条件下においては、玄米の劣化速度は極端に遅くなり、来年になってもおいしく食べられます。ただし、古米は乾いて水分含有量が落ちてくるために、パサパサしたおコメになります。
ちなみに、政府買い入れの備蓄米は15度以下の環境で、7,8年保存されています。食べられることは食べられますが、とても日本の家庭市場で求められるレベルではありません。
年に数度入札が行われて市場に放出されます。おそらく、少しいいコメとブレンドされ、給食や公官庁の食堂等を通じて消費者の口に入るのだと思います(?)
ともあれ、稲造米穀店は、産地の定温定湿倉庫の保管条件を維持するために、リーファー(冷蔵)コンテナを利用し、シンガポールに定温定湿倉庫を借り、皆様にベストな状態での産地直送米をお届けいたします。