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2021年3月17日

 

ねぇ、お母さん。

シンガポールではさ、ヤモリみたいな、のっぺりとしたやつが家によく入って来るよね?

シュルシュルして、うにょうにょして。よく見れば、手なんか赤ちゃんの手みたいで、結構可愛いんだ。

ヤモリって、日本語では「家守」あるいは「守宮」って書くんだって。読んで字のごとく、彼らは益獣なんだ。

害虫を食べるクモ、ネズミを食べる猫、アブラムシを食べるテントウ虫…さて、ヤモリたちはね、何を食べるか知ってる、お母さん?

ヒント。目撃したら最後、お母さんが半狂乱になってキャーとか悲鳴をあげる最凶最悪の生物。もうわかるよね。

そう、ブリブリ。

え?あんなに小さなヤモリちゃんが、自分の体ほどもあるブリブリを食べるのかって?

そうじゃなくて、彼らはやつらの卵が大好物なんだ。

ブリブリの巣に踏み入ったが最後、「進撃の巨人」の巨人たちが壁内人類をちぎって食べちゃうような感じで、その巣を壊滅に追い込むんだ。

ね、ブリブリは我が家の悪魔だけど、ヤモリはまさに、東大寺を守る金剛力士のごとき、頼れる守宮なのね。

凄いのがね、彼らは手足やしっぽ、あるいは内臓が取れちゃったりしても、なんと、再生するだよ!

人間ならさ、秘書が先生の代わり逮捕されるのが「しっぽ切り」だけど、彼らのしっぽはまた生えてくるんだ。

まさに殺しても死なない進撃の巨人みたいだ!ささーげよー、ささ―げよー、しーんぞうをささーげよー。

なぜだか知ってる? お母さん興味ある?ね、知りたくない?

普通、血液の赤血球細胞にはね、構造を小さくするために細胞核が存在しないんだ。でもね、彼らの血液には、なんとDNAをもった細胞核あるんだって!

欠損した部分に血液が集まると、DNA情報に基づいたタンパク質の複製を始めて、その部分を再生してしまう!

ピッコロ大魔王の腕はちぎれても生えてくる。だから、あの緑の血の緑血球には、細胞核があるってことだよね。

生命は神秘に満ちあふれているね!

そう思わない?ヤモリたちの血液メカニズムは、いずれ、人間の再生医療にも応用されるかもしれないんだって。

でさ、スクールバスのお迎えでお母さんたちがコンドの前で壁を作ってるとき、「ヤモリ入ってきてさ~」から始まって、しまいには再生医療の話で盛り上がってるんでしょ?