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2020年11月21日

 植物も動物並みにウイルスやカビで感染症を患います。密環境だと感染しやすいのも同じ。

 そのため、無農薬栽培は隣の稲株との間隔をかなり開けて生産します。この方が人力除草もしやすい。もちろん、収穫量は江戸時代並みだし、栽培効率がすごく悪い。

 一方、一般栽培は農薬を躊躇なく使えるため、無農薬の2倍以上の密栽培が可能です。

 窒素化学肥料は収穫量を増やすために投与されますが、果実のたんぱく濃度を高める作用があり、これは美味しさにかなりの影響を及ぼします。

 安くて見た目のきれいな規格野菜があまりおいしくないのは、過密環境下における遠慮のない農薬使用と、栄養の偏る化学肥料のみで育てられるからです。

 有機栽培は、一般栽培に比べて収量が半分からよくて3分の2程度。ゆえに、食味は良好でも「値段が高すぎる」という致命的欠点があります。

 秋田県認定の無農薬あきたこまちは、県基準8割減という最低限度で化学肥料を投与。収穫量を多少なりとも増やして、値段が高くなりすぎないようにしています。

 JAS有機は仕入れ値が一般栽培あきたこまちの2倍以上もするうえ、日本の米生産量の0.1%程度と高すぎる希少性のため、やはりそれなりの値段設定です。

 生産者いわく、

 「両者とも、一般栽培とは育苗段階から異なる」

とのこと。

 幼少期から低密度かつ稲1穂あたりに栄養がいきわたる管理をすると、1穂に実る米数が一般栽培の約1.5倍にもなる。

 しかも、茎が太くて根の張りも丈夫。植物本来の逞しさを発揮して、気候変動にも耐えやすい。

 実際、1粒1粒ズシっと重たく、血色のいい、貫禄十分の健康優良児みたいな存在感です。

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 過密環境下の薬漬けで生産された精肉はあんな感じですが、動物も、植物も、育て方で随分と違う大人になるようです。

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