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23年1月25日


(1)カインの始祖パン

創世記。

人がエバを知って生まれた長男がカインで、次男がアベル。カインは農耕民の、アベルは遊牧民の祖となる。

中東の穀物といったら麦だが、いかに栽培するか?と同時に、いかに美味しく食べるか?も、農耕民のカインは考えたはず。

トゲトゲしたもみ殻をむくと、表皮や胚芽がついた茶色の実が表れる。

氷河期明け1万年前のカインは、もちろんその全粒のまま、まずは原始的に押しつぶした「押麦」にしたはず。

やはり固くて食べられない。そこで、水…いや、お湯につけたら柔らかくなるかなと、ひらめいた。

さらにこれを煮ると、オートミール状になってより食べやすくなった。

食べ残してそれが渇いたり、赤ちゃんが手でグチャグチャ遊んだりしているのを見た。

ん?麦の粉に水分を混ぜてこねたら、ぶよーんとした生地になるぞ。それに高い熱を加えてみようと、カインはさらに目を輝かせる。

最初は、直火だったに違いない。

パンは、グルテンレベルの高い小麦粉に、酵母をまぜて発酵させなければ、現代人のイメージどおりには膨らまない。

野生種に毛の生えた、カインの栽培小麦。

「発酵」という概念がなかった当時、焼いただけのクッキーのようなものが、始祖パンだったのではあるまいか?

ポリポリとしたその歯ごたえに、麦の大いなる可能性を感じたカイン。

うーん、直火は焦げちゃうなぁ。

じゃあ、粘土を焼いたレンガをつんで、こうしてこうして...これを「かまど」と名づけよう!

神は、カインに好奇心を授けたもうた。

創意工夫に満ち溢れ、ものをいかにうまく食べるか?にとりつかれた、目のキラキラした少年おじさん♡。

あぁカイン。

俺は時空を超えて、君と友達になれそうだ。

もし、弟アベルにあんなことをしなければw


(2)スコティッシュ

スコーンとは、一般的には麦生地に膨らし粉(重曹=ベーキングパウダー)を混ぜ、発酵なしでそのまま焼いたもの。

「速成パン」というだけあって、ガチっとしたパンの失敗作といった感じ。だが、

その腰の据わった高密度な食感がパンより好き、というファンは多いに違いない。

始祖パンはスコーンじゃないかと思ったが、1万年前に重曹(炭酸水素ナトリウム)はなかった。

16世紀のスコットランド発祥というから、その歴史はパンよりはるかに新しい。

膨らし粉を使うのだから、生地には小麦のグルテンが持つ膨張性や粘り気など不必要。

だから小麦でなくとも、米、大麦(もち麦)、ライ麦、燕麦、大豆、胡麻…とにかく粉にできるものなら何でも、スコーン生地になるのが最大の特長だ。


(3)玄米スコーン

スコットランドは寒くて土地が痩せ、小麦も取れなかったに違いない。

だから、小麦以外の雑穀をいかに美味しく食べるか?

という発想のもと、「スコットランドのカイン」と異名をとる目のキラキラした少年おじさんが開発したんじゃないかと、俺はにらんでいるw

何の粉でも焼ける…ということで、玄米、大豆、もち麦などからも、スタバでおなじみのあれが作れる。稲造米穀にある原料で。

話の流れとして、でんぷん以外の栄養皆無な白小麦でなく、胚芽精米、玄米や全粒粉がおすすめ。

パンは発酵が伴うから、合計3~4時間かかる。一方、スコーンはこねて焼くだけ30分未満の速成パン。

もちゴチな食べ応え十分の晩御飯が、炊飯より早くできる。だからママ、面倒な時やお急ぎの時は、これでごまかせw

お米由来で腹持ちが良く、焼いているから日持ちもいいぞ。


(4)レシピ

用意するもの 
①器具
1.ミキサー
2.大きめのボウル
3.混ぜる用のヘラとスプーン
4.オーブン
5.キッチンペーパー

②原材料
6.玄米1合150g(大豆粉でももち麦粉でも、混ぜたいものは何でも)
7.キビ糖やオリゴ糖など糖類30g(なくても可)
8.海塩1つまみ
9.オリーブやアマニなど油20㏄
10.豆乳、牛乳、アーモンド乳、オーツ乳など70㏄
11.チョコチップ、アーモンドチップ、クルミなど混ぜたいもの少々
12.重曹(ベーキングパウダー)8g

作り方
〇生地作り
1.水に一晩くらい浸水した玄米が粉砕しやすい
2.ミキサーに玄米を入れる(粉の場合はボウルに)
※1合内に、大豆粉など色々混ぜてもいい
3.アーモンドミルクなど70㏄
4.少しずつブイ~ンしながら混ぜる
5.糖類30g(なしor減量可)
6.油か溶かしたバター20㏄(ないとカスカスになる)
7.重曹8g
8.塩1つまみ
10.ブイ~ンしていると、だんだん生地っぽくなる
11.最後にチョコチップなど入れて、少々混ぜる

〇仕上げ
12.オーブンのトレイにキッチンペーパーを布く
13. 生地をトレイに2~3センチの厚さで平べったく伸ばす
14. 焼き上がり時に取りやすいよう、切れ目を入れておく
15.220℃20分にセット

その他、生地作りの段階で…

ヨーグルト、バナナ、豆腐、シナモン、アマニ粉、乾燥にんにく、大豆粉、燕麦粉、ライ麦粉、全粒粉、ひじき、ツナ、鰹節...

生地が水っぽくならない程度に、適当に混ぜちゃって。

ほんと、何でも混ぜて焼くだけ。ドラゴンボールの仙豆や忍者の兵糧丸よろしく、これ1つでほぼ完全栄養食w

あとは、人事を尽くして果報は寝て待て。ここまで10分未満。簡単だから、ナナミちゃん(8歳)にもできる!

ん~、生地が焼ける、いいにおい~。

できた!

お~、どっからどう見ても、重厚感のあるスコーン。本当に玄米か!?小麦と変わらんや~ん!

(砂糖なしのときは、蜂蜜、オリゴ糖、メイプルシロップなどでお楽しみあれ)

玄米粉でこれだから、

「パンやお菓子は小麦で」

なんてもういわせない。カインが麦に加工の可能性を感じたように、俺はお米にその可能性を感じた。

しかし、こんがりとした匂いが、食欲をそそる。カプっと俺はかじりついた。

・・・

ねぇねぇお母さん。

スコーンはね、英国発祥なだけあって、紅茶にすごくあうんだ。

お菓子とごはんのいいとこどり。

栄養満点なお米スコーンとさ、丸ポットと薄手の白カップで紅茶を飲むなんて、なんて優雅なオトナのぜいたく♡

・・・

スコーンの生地を混ぜて焼いて、そして食べたとき。

1万年前のカインが、どんな気持ちでパン焼きにチャレンジし、それを家族と一緒に食べていたのか、少しわかった気がした。

試行錯誤の果てにたどりついた、人類初のパン。

2023年1月、俺は創世記の世界を追体験したw