SHOW SIDEBAR

2022年6月1日


・化学肥料

大気組成の78%を占める窒素。

これをたんぱく質のような養分として、植物は成長する。

ただし、根や葉から直接、窒素を取り入れることができない。根に寄生した菌類や微生物が、代謝できる化合物に変えてくれる。

植物の窒素は動物を通じて人間が取り入れ、窒素化合物として排出され、それを植物がまた摂取する。高校生物で出てくる「窒素循環」ってやつ。

ただし、土壌中にもともとある窒素だけを利用していると、植物の成長はとても遅い。また、使い切ると窒素はなくなり、植物は実らなくなる。

そこで、人類は空気中の窒素を水素と混ぜてアンモニウムとして固形化し、化学肥料を発明した。

それ以後、世界人口は1900年の約16億人から、現在70億人に。穀物を、安くかつ大量に、安定的に作れるようになったからだ。

なんかスゲーぞ窒素!

酸素と二酸化炭素だけじゃねぇよ!大気組成中の78%だよ!二酸化炭素なんか0.03%しかねぇのに、俺を忘れてもらっちゃ困るよ!

そう言いたげな魂の叫びに、たまには耳を傾けてやってください。


・有機肥料

化学肥料がなければ、農産物は高額。

収穫量を爆発的に増やす一方、植物内の窒素が多すぎると、その化合物であるたんぱく質の増えすぎで、なぜか食味が低下する。

お米の甘みも、たんぱく濃度が低ければ低いど「美味しい」とされるのがその証拠。

大方の人は農薬だけに注目するが、質を求めるのであれば、化学肥料の使用量に注目すべき。

逆にいえば、有機肥料をどれだけ使っているか。

有機肥料はアンモニウムのように植物には直接吸収されず、まず微生物に分解させることで、ゆっくり植物に吸収される。

微生物も増やすから土壌そのものが豊かになり、化学肥料の含有物質が自然環境に悪影響を及ぼすこともない。

また、化学肥料には皆無なミネラルが豊富な分(=窒素成分が少ない)、タンパク値も上がりにくい。

植物もバランスのいい食生活をすると、健康かつ美味しくなるのだ。

ただし、生産原価が高く、収穫量も減る。その分、生産物の価格も高いのが難点。


・脱炭素

化学肥料(窒素の固定化)=硫酸アンモニムや尿素の製造には、水素が必要。

ところが、空気中の水素割合は0.000…%。では、どこから水素を抽出するのかというと、原油や天然ガスに含まれるメタン(CH⁴)が9割だという。

となると、Cは一体どう処理するのだろう?酸素と結合して(燃やして)空気中に放出するとか?


・世界情勢

植物の三大栄養素といえば、①窒素②リン酸③カリウム。

このうち、日本は9割以上のリン酸(原料はリン鉱石)を世界シェア4割の中国から輸入。

カリウム(原料はカリ鉱石)の世界シェアは、1位カナダ。2、3位はどこ?

なんと、2位ロシアで3位ベラルーシ。やばくね?

水素の原料となる天然ガス(ロシアのシェア世界2位)も高騰中。リン酸は、中国の国内生産回帰の出し渋りで、もっか暴騰中。

そしてカリウムは…ロシアとベラルーシは国際市場からもはや消失。

中露がなぜあんなにも強気で、北朝鮮までああなのか、なんとなく見えてくる。