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2020年2月19日

 

 黒いビー玉みたいな形で、ぼにょぼにょした食感のタピオカ。

 シンガポールではMRTの売で売っている普通のドリンクだが、日本でも最近、これがはやった。

 ルーズソックスを履いてポケベルをいじっていた女子高生とか、ユンケル皇帝液を愛飲するオヤジギャルの間ではやった、ナタデココみたいなノリなのか。

 タピオカって何?寂しい熱帯魚?

と、バブル世代のお父さんは、その語感にWinkの歌を重ね、1人で適当にウケているのだろう。

 これ、実は中南米原産のキャッサバというイモのでんぷん。

 日本にもかなり輸入されている。加工食品の副原料としてもよく使われ、冷凍うどん、食パン、インスタントラーメン…にも入っている。

 実は、もっと意外なところで使われている。

 当のお客さんに無洗米派の人はいないが、無洗米加工の時に使われている。

 普通に精米した白米には、顕微鏡で見なければわからない糠がちょびちょびついている。

 福沢諭吉の日課だったという精米。玄米を杵と臼で搗いていた彼の時代は、ペンキのはげた壁みたいな、目に見えて糠の残った白米だったろう。

 きちんとした白米を食べるためには、米研ぎはかなり難儀な作業だったに違いない。

 これが今は顕微鏡でなければ見えない残り具合だから、2~3回さっとリンスするだけで大丈夫。

 ちなみに、胚芽精米は糠を食べるお米だから、すでに剥離した糠を除く程度の、本当にさっとすすぐだけで十分。

 この1分もかからぬリンスが面倒で、シャワー5秒程度の水道代がもったいないという人は、ちょいと高めの無洗米がおすすめ。

 もっとも、無洗米は本来、1回に1~10升も炊かねばならぬ業務用向けに開発された。最初は病院の給食向けだったらしい。

 水道代が年間何十万と浮き、米研ぎの手間が何十時間と削減できる。

 しかし、1回に1~3合しか炊かない家庭用には、無洗米は不経済。無洗米派は、「簡単」「節約」というイメージで選択するのだろう。

 研ぎ汁の白さは溶けだしたでんぷんが主で、糠ではない。だから、透明になるまで研ぐ必要はない。米のエネルギー価を損なうだけだし、そこまでやると米が割れ、美味しくなくなる。

 話がそれたが、無洗米を作る工程で、どうタピオカを使うのか?

 普通白米にタピオカを吹きかけ、熱することで、タピオカに糠を吸着させる。それを吹き飛ばすと、顕微鏡で見なければわからない糠さえ残らなくなる。

 日本の技術者たちは、よくもタピオカにこの作用を発見したなと涙なしには語れないプロジェクトXだが、こういう特殊精米機とタピオカが必要になるわけだから、無洗米は普通白米より高くなる。

 (熱している時点で米は食味を損なっているが、「無洗」という利便性を優先)

 日本でタピオカドリンクが流行って需要が増した結果、無洗米に使うタピオカ相場が上がってしまった。

 精米機メーカーは販売不振。それを使っている業者は精米経費増。しかもそれはデフレ圧力で販売価格に上乗せできない。

 「風が吹けば桶屋が儲かる」

という。いまやグローバルな因果関係の中、意外な事実から意外なところで、理屈の玉突きから企業業績が変化する。

 パンダ顔の蔡英文、パンダ外交ならぬタピオカ外交のおかげで、業界は上を下へのそりゃあもう大騒ぎ!

 蔡英文総統が河野外相をタピオカでおもてなし、SNSで話題沸騰!?では、サ〇ケ(精米機メーカー)株はウリ!

みたいな反射神経のあるおじさまって、ステキよね、キャッ。

 いかにもシンガポールにいそうですが。

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