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2022年2月23日

日本の高級和食の場合、「○○塩を使用」とはいちいち謳わない。

値段ありきの大衆ではないし、板前だって

「いやな奴は食わなきゃいい」

みたいな、見た目は謙虚を装いつつも、(まるで稲造のような)生意気な態度でw作りたいものを作るだろう。

ゆえに、調味料の王者たる「塩」には、特にこだわっているのではないか。

(星州の超高級はどうだろう?)

「美味しさ」とは、構えや評判、あるいは器などで演出されるプラセボ効果、あるいはハロー効果や価格効果などの総合演出。

(※ワインだと、

「一流の醸造家が丹精込めた、1本〇〇万円のボルドー産」

なんて先入観があると、飲む前からゴリゴリ期待しちゃう。味とは、舌より、脳で感じるもの。

実際、目隠しして飲んだら、ほとんどの日本人は1本1480円の大衆ワイン(フランスだと1本300円とか)と区別できなかったりするらしい)

といっても、舌は正直。ちゃんとした料理というのは、和食味付けの肝たる塩味に、角やしつこさがない。

まろやかで、すぅ~~っと自然に血液になじむというか、そういう美味しさってありますよね?

あれって、やっぱり塩を選んでいるから。

「いや、うちは普通に99.9%塩化ナトリウムの精製塩ですよ。

それに、昆布やカツオからダシとるなんか面倒だし高いから、味の素で一流の味は出せるんです!

要は、料理の腕より、インスタ映えして、構えと器で客の脳をだまして錯覚させることなんスよ!」

なんてホリエモン風のオーナーもいるのだろう。しかし、丁稚から叩き上げたガンコ板前なら絶対、包丁と、そして塩は選ぶ。



実際、海の天然塩はちがう。

たとえば、炒め物に小さじ一杯とか使ってみる。

精製塩だと塩っ辛さが料理全体を覆ってしまうが、海の天然塩は、具材の持ち味を邪魔しない(あるいは引き出す)しょっぱさ、というのか。

なじみがいい。そう、そういう表現。精製塩は、塩単独では浮いちゃうから、余計に砂糖を入れたりする。

精製塩は「イオン交換膜法」といって、海水から塩素とナトリウム「だけ」を抽出するため、塩化ナトリウム99.5~99.9%。

一方、海の天然塩の塩化ナトリウム含有率95%以上で、残り5%にカリウム、カルシウム、マグネシウムをはじめ、鉄、リンといった微量栄養素も含む。

天然塩はまさに「海の結晶化」だから、そういう料理になる。

実際、天然塩に慣れると舌だけは贅沢になる。

稲造は見た目が貧乏で、実は本当に貧乏なんですがw、たまに外食すると味が濃く感じられて、外食が苦手になった。

脂っこいと、胃モタレするような年になったせいもあるだろうけど。

・・・

ははうえさま、お元気ですか

ド田舎の濃い味に慣れたわたしの舌は、海の天然塩のおかげで、すっかり角の取れた上品な塩味に慣れてしまったようです。

それではまた、おたよりします。ははうえさま、稲造~♪


この3月上旬。石川は能登半島の珠洲(すず)から、その海の天然塩が本邦初上陸いたします。

能登といえば、日本海側のポコッと突き出たあそこ。知る人ぞ知る、江戸時代からの塩の名産地です。

まず、遥か間宮海峡から南下してくる寒流の「リマン海流」と、対馬から北上してくる暖流の「対馬海流」の合流点にて、海そのものが豊か。

地理的には、絢爛豪華な(?)金沢文化圏とは途絶した、秋田以上の超ド田舎。

縄文時代からほとんど変わらぬ、開発から完全に取り残された永遠の過疎地。排水する工場はおろか、住宅すらまばら。

そもそも、「珠洲」なんて誰も読めない。

要するに、能登沖は海そのものが豊かで、かつ、すげ~綺麗なんです。

南国の島々は、コバルトブルーで熱帯魚なんか泳いて、ビキニのおねぇちゃんがキャッキャしてそうな華やかなイメージ。

一方、日本海はですね…

岩礁だらけで、冬は暴風雪の津軽海峡冬景色そのままで。

凍えそうなカモメが一羽飛ぶ下で、生活と男に疲れ切った場末のスナックのママが、かじかんだ手をこすりあわせている。

そういう暗さが漂っているんですよ。都会育ちの人、想像できます?ガチ暗いでしょ?ww

でも、ディープブルーの海は見た目も中身もきれい。

和食にはそんな日本海の塩だ!と、使ってみて納得した能登の塩を、頭に並べてみたくなりました。


珠洲の塩は天日平釜法。人力100%、機械化合理化の気配まったくなしw

秋田、石川、富山は「美人が多い」といわれます。低紫外線量トップ3県で、顔だちどうこうより、七難隠す色白な人が多いからです。

製塩には、海水から水分を飛ばして濃縮する過程があります。上記のような地域柄なので、太陽光だけで乾燥させるのは無理。

ということで、これも江戸時代からそのまま、立てかけた簾(すだれ)に海水を振りまき、滴ってくる過程で水を自然(天日)蒸発させます。

その濃縮海水を「平釜」という文字通りの巨大な平釜で、しかも薪で煮込む。完全蒸発させて底に残ったものが、まさに海の結晶=天然塩です。

岩塩に比べて2/3~半分くらいのしょっぱさ。(岩塩にはミネラル成分が少ないため)

塩むすびで試してみると、違いがはっきりするレベル。ほんのりと甘みさえ感じるしょっぱさだから、

「おかあさん、おしおかえた?」

ってわかる子には絶対わかる。

塩も使い分け。洋食には洋食らしく岩塩や欧州の海塩。繊細な和食にはやっぱり、日本の海の天然塩がふさわしい。



一時帰国された時、百貨等で天然塩を吟味して少量購入、シチュエーションに応じて使い分けてみると、絶対面白い。

「なんか変わった!」

って家族にバレるくらいおかずのレベルが上がる分、お米ももっと美味しくなる。

で、稲造米をいっぱい買ってもらえれば…なんて下心ムンムンww

同じ料理でも塩次第で違ったものになるって、面白くないですか?発見があって、学ぶこともあって。

「外食って濃いな~」

みたいに、町人のくせに舌だけは貴族になってしまうw

で。

これが塩麹だと、成分がより複雑化して、さらに奥行きがでます。次回また。

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